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いくそす。~2.5次元で萌と賛美を叫ぶ~

聖書二次創作・キリスト教教派擬人化BL専門サークル「いくそす。」のHP。 腐ったクリスチャン略して腐リスチャンが、腐教(布教ではない)の為に日夜東奔西走するだけの簡単な活動をしています。ここでは主に擬人化BLを置きます。 療養のため各地にはかつき(骨林頭足人)が行ってくれてます。本のご感想はゲストブックか、巻末のメッセージのコードからお願いします。

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ルビーのストラ(4)
歴史上の人物×初代さん
まだまだ続くよ! R18





 アルバを首もとまでたくしあげると、エリクは意外そうな顔をした。

「なるほど………。お父上の自信の秘密はこれでしたか」

 息子たちも知らない。俺の裸には、びっしりと傷跡がついている。全て、ローマン達が独立するまでの、殉教者たちの致命傷だ。政治や部族対立が激化する前のものが主だったものだが、人の一生から見れば凄まじく見えるのだろう。
 だがエリクは違った。その傷痕を一つ一つ舌先で辿り、オレの性感帯でも探るかのように、体の隅々を擽ってくる。オレにはそんなものはないと思うが、そんなことよりも聖痕を舐られるのが嫌で、自由のきかない体をよじった。もっと暴れても良かったんだが、異物を一気に引き抜かれたダメージが大きく、体が重い。オレの聖痕は身体中にある。エリクから見れば、自ら自分の秘密を明かしているようにも見えるのだろう。舌が湿り、鬱陶しいほどへばりついてくる。

「きさまは………おうだろう…。キズのひとつや…ふた―――っ!?」

 その傷を舐める舌先が、オレの下腹部を通り越して行った。確かにそこにも、拷問によってつけられた傷がある。だが普通なら、というか常識で考えてそんなところに舌をつけるバカなんていない。しかも、それを然も飴でも舐めるかのように口に含んで見せた。仰天して腹に力を込め、起き上がろうとして、力が入らないことに気がついた。ざわざわと体の内側は煮えくり返っているのに、肌が寒い。皮膚のすぐ下が煮えくり返っているのに、だ。頭も同じで、オレが何のために、誰のためにいるのかわからなくなってくる。意思がブレてるんだ。何も考えられない。罵声すら思い付かない。
 ただ、本能のままにしか、動けない。

「あ………う…あ…」
「香が効いてきたようですな。そのまま私にカラダをお預けください、悪いようにはしませんよ」

 エリクの声で、息苦しい理性が取り戻される。口を開く為に、指環の僅かな希望を握り締める。縺れ、窒息しそうな舌をなんとか動かし、言葉だけの反抗を示した。

「オレが…オレ、は………。ひとりの、はぁ、ふ…っ、おうに、しか…っあ…あああ、ん…っいつ…っいた…っ」

 情けないが、そこから先は言えなかった。形容しがたい舌:の動きに翻弄され、もう目の前さえ録に見えないのだ。オレは唯一人、天の王にしか仕えないし、その方以外のものにもならない。そんなオレのアイデンティティさえ示せなかったのだ。それについて何の感情も湧かない。いや、考えつかないのだ。
 何のために、オレはここに来たんだっけ…?
 分かるのは、秘部を舐る舌の動きと、それに釣られて徐々に締め付けがきつくなっていく痛み。でもそれが良いのか悪いのか、わからない。ただとにかく、信じられないことが起きているのは分かっていた。

「いたい…っいっ、いた、い…。や、やめろ、はな―――」
「痛いのは感じていらっしゃるからでしょう。ここで止めたら辛いのは貴方ですよ」
「ふざけ…な、はなせ…はな、せ…っ!」

 親指を隠すように握りしめ、なんとか声を出す。誰のためにとか、そんなことを思い出す暇など無くても、心の芯がブレないように。とにかく、この王が権力に酔って何もかもが手に入ると勘違いしているのだと。それを伝えられなくても、その事実だけを見失わないように握りしめ縋った。
 だが、オレがあまりにもそこの秘密にしがみついているのにエリクが気付いた。ぐっと圧しかかり、右の拳を抉じ開ける。頭の後ろに手があっても、指輪の存在を確かめられたことが分かる。まずい、まずいまずいまずい!

「無礼者! 何をする!」
「何、お父上の心の支えは何かと思いまして」
「これは貴様ら俗人は元より一介の神父ですら手を出して良いものではない! 離せ!」
「まあそう言わずに、唯の指輪ではありませんか。あまり暴れますと、香を増やしますぞ」

 確かに唯の人間から見ればそうかもしれない。だがローマンにとってはそうじゃない。これは導き手と自分の心の結束の証なのだ。それを汚すなど許さない。オレがこの指輪をしてきたのは、この思い上がりに威厳をもって誂む為だったのだから。こんな好奇や思い付きで触れられて良いものではない!
 だが子どものような野心を片手で拒める筈もなく、するりとオレの熱を吸収した金属が離れていった時、思わず動けなくなった。絶望が支配した、とか、力尽きた、とか、そんな理由ではない別の何か形容しがたい情動に犯され、動けなくなった。驚くほど重たい眼球を持ち上げ、エリクを睨み殺そうとすると、エリクは指輪を自分の右手の親指に嵌めていた。途端に、酷い動悸に身を捩る。否、動悸じゃない。何か迫り上がってくる。
 エリクが何か言っている。唇が読めない。何? 何を言っているんだ? 聞き取りにくい酷い耳鳴りの中、それでもようやっと拾った言葉は、最早音以外の何物でもなく。エリクの塊のような熱い息が、縛られきつく膨らんだ場所に近付いて、剣や盾を持つ節だった指が触れた。途端に体が熱くなり、意に反して身体がビクビクと跳ね上がる。迫り上がってくるものは、あと一歩があれば封じ込められそうなのに、その一歩がわからない。自分の身体が制御できず、やり場のない怒りにも似た激しい情動を受け流そうともがいたが、エリクがオレを体の中から捕まえて離さない。チングルムはもう千切れても良いくらいにきつくなって、苦しくて堪らない。だがここでこいつに、この訳のわからない状況をどうにかしろと泣きついたら終わりだ。指輪も取り返さなくては………。
 あれ…?

 何から考えればいいんだっけ…?

 ぴたり、と、何かが異物の違和感を抱えたままの場所に当たる。何だ? これから考えればいいのか?
 ぬるりと入り口が拡げられ、漸くエリクの目的に気づく。

「ひ…っい、いや、やめろ、この、みのほどを―――!!」

 オレの罵声は、声なき悲鳴に書き消された。

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