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いくそす。~2.5次元で萌と賛美を叫ぶ~

聖書二次創作・キリスト教教派擬人化BL専門サークル「いくそす。」のHP。 腐ったクリスチャン略して腐リスチャンが、腐教(布教ではない)の為に日夜東奔西走するだけの簡単な活動をしています。ここでは主に擬人化BLを置きます。 療養のため各地にはかつき(骨林頭足人)が行ってくれてます。本のご感想はゲストブックか、巻末のメッセージのコードからお願いします。

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四月のテオフィロさん達
 とぽとぽとぽ、と酒が注がれるのを黙ってみる。お酌をしてくれるのはありがたいのだが、どこかに俺に水を進めてくれる気の付く娘はいないものか。そう思ってあたりを見回したが、娘息子たちは皆各々宴を楽しんでおり、無理そうだ。
 …否、どこもかしこが楽しんでいるわけではないらしい。1か所だけ、1人が正座をし、1人が腕を組み仁王立ちしているわかりやすい光景があった。そっと

近づいてみると、正座している方は、はい、はい、と頷いている。

「大体ねえ兄さん。世界に今いくつ戦争している国があると思うの? 今でもその諍いが続いていたり柵があるところがどれくらいあると思う? そう軽々しくネタにしていいことじゃないって初めから僕言ってたよね? 何生き生きとノリノリになってんの? バカなの? 死ぬの?」
「はい、はい、反省シテマス」

 どうやらマーティンは、ローマンが意気揚々と今回のバカ騒ぎに乗ったことが気に喰わないらしい。皆を説得するのに苦労していたそうだから、仕方がないだろう。特にジャネットを説得するのは大変だったようだ。メソジストがカメラマンとしてなら参加してくれると譲歩するまで、その労力を考えると気持ちもわかる。メソジストはよく好戦的と言われてしまうので、何事も平和にしたいようだったし、いくら単なるお遊びと言えど、剣を持って血を流す場面にはいたくなかったのだろう。

「まあまあ、マーティン兄弟、それくらいにしましょうよ。折角のパーティなんですから」
「うにゃ」
「カルヴァンは兄さんに甘いんだっ! ルーテルもなんだかんだ言ってすごく乗り気だったし!」
「ルーテル姉妹はローマン兄弟と何かすることが楽しいだけなんですよ。久しぶりに身体を動かして、実際楽しかったじゃないですか?」
「カルヴァンなんて首から下だけの出演だったじゃないか」
「ボク、別にそれでもいいですよ。ねえそうでしょう?」

 そういってカルヴァンが話を振ったのは、彼の息子であるバプテストだった。今は母カンタベリーと談笑している。こちらに気が付くと、母と一緒に向き直る。

「何の話? お父様」
「ボク達、首から下だけだったけど、楽しかったよね」
「はい、楽しかったですよ。…お母様左手しか出ていなかったけど」
「あら、私も楽しかったわ。いつも優しいお話しかしないからね」
「別にクリスチャンが、ホラーやスプラッタを見ちゃいけないっていう決まりはないし」

 バプテストは本当に気にしていないのか、グラスのスコッチを飲み干し、お代わりを注ぎに行った。

「………でも、今回大分気合い入れた分、今までの奴とか見るに堪えな…」
「やめたげてよう!」

 さすがにそれ以上はかわいそうなので、止めに入った。いつでも全力投球しているのは事実なのだ。頼みの綱であるオレが話に入ってきたので、ローマンは俺の腰に抱きつく。酒がこぼれそうになった。

「ひっでーんだぜ、親父! 今回俺たち頑張ったのにマーティンがいぢめるんだっ!」
「い、いじめてないでしょ! 僕は宗教家として平和への道を歩くには、戦争表現はふさわしくないと…」
「お前『不正な管理人のたとえ』知らないのか!?」
「度が過ぎるっていうんだー!」

 指を指し合い、頬を赤く染めながら喚く兄弟2人は、見ていてとても安心する。どちらがけがをしないかなど、考えなくていいからだ。俺は笑って言ってやった。

「今日はそういう遊びの日なんだから、いいじゃないか。ただし普通の日にやっちゃだめだぞ。不謹慎とジャネットが黙っちゃいない」
「そういえばジャネットは? あいつ見かけないけど」
「ああ、あの子なら『早くこれを編纂しなくちゃ!』って飛び出していったぞ。マーティンも上手く言ったもんだな、『編集技術はお前が一番』なんて」
「いや…僕は別に…」

 言いよどんだということは他意があったのだろうが、まあいいか。

「でもですね、父上! 自分は呈したいであります! 自分は悪くないのであります。戦争というものはひとえに宗教だけの問題ではないのでありまして…」
「メソジスト、素が出てるぞ」

 後ろから大きな筋肉の塊が抱きついてくる。そうだ、こいつは泣き上戸だった。ささっと子供たちが離れていく。こうなったら俺が話を聞いてやるしかないだろう。

「自分は別に! 戦争が好きなわけじゃないのであります! 戦争をしたのが自分の仲間だっただけなのであります!」
「はいはい、わかったから座ろうか」
「ぐすっ…理不尽なのであります…。自分たちはテオフィロ(変人)かもしれませんがパリサイ人(浮いた人)ではないのであります! 父上理不尽なのでありますうううううう!!!」
「あいだだだだだ!! ギブギブギブ! 今更迫害とかやめて!」

 めきめきめき、と締め上げられる。どこかで見た光景だなあ、と子供たちの視線が遠かった。



―――
メソジストのキャラはこっちが素。普段は頑張って溶け込んでる。でも本音は結構かわいい感じに極端。
え? パウラの知ってるメソジストさん? もちろんいい人ですよ、たくさんお菓子をくれます←

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