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いくそす。~2.5次元で萌と賛美を叫ぶ~

聖書二次創作・キリスト教教派擬人化BL専門サークル「いくそす。」のHP。 腐ったクリスチャン略して腐リスチャンが、腐教(布教ではない)の為に日夜東奔西走するだけの簡単な活動をしています。ここでは主に擬人化BLを置きます。 療養のため各地にはかつき(骨林頭足人)が行ってくれてます。本のご感想はゲストブックか、巻末のメッセージのコードからお願いします。

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我が愛しき鐡の鷲
キリスト教教派擬人化小説。
時は第二次世界大戦。カトリックはナチス・ドイツと密約を結び、政教を分離させた。政治と宗教の不可侵条約を結んだはずが、徐々に忍び寄る不気味な「キリスト教」とは…?


幼い頃、1度だけ、親父の背中を見たことがある。
 その時は、弟達もいて、何の怪我をしたのか、しつこく聞いた。親父は何も答えてくれなかった。
 やがて俺達が育ち、俺は親父の鍵を受け継いだ。たくさんの教皇と司教に囲まれて、暗中模索している時、こんな時親父はどうやって活路を開いたのだろう、と、思い至った。俺は言葉を濁した親父の意図に、気づかなかった。
 歴史書には、親父がどれだけの迫害や拷問を受けたか、そして仲間が死んだかが記されていた。親父がローマを懐柔するまでの間に、血を分けた兄貴分である俺達の叔父にどれだけの屈辱を受けたのか。俺は震え上がった。そして、俺はこれを防がなければならないのだと固く誓った。
 俺はもう、親父を困らせない、悲しい思いをさせない、強く、みんなを守り抜くからと、親父に約束した。それだけで、親父は俺が親父の過去を知ってしまったのだということを理解したらしかった。



「ローマン、グーテンベルクによって、多くの人々に聖書が行き渡ったな」

 それは、マーティンがルーテル、カルヴァンらを率いて、抗議運動をする直前の頃だったと思う。パパ様と国王の間を行ったり来たりで忙しかった俺は、無礼とは思いつつも、親父を今住んでいる教会に呼び、茶に来てもらった。目の回るような忙しさで、自分を見失いそうだったからだ。

「ああ、識字率は相変わらず低いけど、それでも教会関係者や貴族が読むには十分だよ」
「気をつけろ」

 おれはきょとんとした。親父は眉をひそめながら言った。怒っているような、悲しんでいるような、そんな表情だった。

「聖書は、決して神のご意思だけで出来たんじゃない。オレ達は仲間を守るために、ローマやギリシャ人に受け入れられることを第1に聖書を編纂した。お前たちに教えたとおり、文字以外で残された信仰もある」
「どういう意味だ? 親父」
「ヨハネ福音書にもあるだろう。聖書は全てだが、全てじゃない。聖書に惑わされるな。自分の中の正義と戦え。真理を見誤るな」
「何言ってんのかわかんねえけど…。よく読めばいいんだろ?」
「ああ、そうだよ。忘れるな、ローマン・カトリック。主が良しとしないものは、この世に存在できないんだ。どんな理不尽も憎しみも、主が在って良いとされたから、在るんだよ」

 それから数百年。戦争が起こり、俺は知らず知らずの間に恐ろしい伝統を持っていたことに気付かされた。

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