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いくそす。~2.5次元で萌と賛美を叫ぶ~

聖書二次創作・キリスト教教派擬人化BL専門サークル「いくそす。」のHP。 腐ったクリスチャン略して腐リスチャンが、腐教(布教ではない)の為に日夜東奔西走するだけの簡単な活動をしています。ここでは主に擬人化BLを置きます。 療養のため各地にはかつき(骨林頭足人)が行ってくれてます。本のご感想はゲストブックか、巻末のメッセージのコードからお願いします。

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我が愛しき鐡の鷲4
ルーテル・プロテスタントはルーテル派の擬人化ですが、このルーテルは別人です。



 情けない声ねえ、と、嘲笑されながらも、俺は体を起こそうとした。そうでないと見えなくて、状況がわからないからだ。ただ、上から物凄い量の土嚢が積まれているような圧迫感があり、それは息苦しくさえしてくる。目玉をぎょろぎょろ動かすと、見慣れたローブと、軍服のズボンが目に入る。ローブは一人分、軍服は、数えるには少々視界が悪い。

「その声…ルーテル…お前か!」

 精一杯目頭に力を入れて、顔ではなく視線を上に向ける。ぎりぎり視界の端に映ったのは、マーティンの妹分の一人ルーテル・プロテスタント―――では、ない。
 ルーテルじゃない。よく似ているが、別人だ。どこがと言われれば全く指摘できないのだが―――あえて言うなら、この『ルーテル』からは、神の薫りがしない。

「ちがう…? だれだ…」
「おや、すぐに気づいたようだね。でも分からないなら、意味が無いさ」

 声は全く同じだし、俺に対する態度も同じだ。だがやはり、神の匂いがしない。膝を立てて、ガタガタ震えるほど力を込め、漸く中腰になり、顔を上げた。
 顔のパーツもやはり同じだ。だが、こうして全身を見ると、やはり全体的に違和感がある。俺の知ってるルーテルと違う。

「まがいもの…。きさまは、だれだ」
「あたしはルーテルだよ。ただ少し、マチズモによって考え方が革新的になったけどね」
「と、っけるな!」

 声が裏返る。だが妙な確信があった。この女は、何故かルーテルの姿をしているが、恐らくこの女は猿真似ではない。俺達と同じ「そういう」ものだ。パウロの首を跳ねた剣を突きつけ、精一杯に凄む。

「なんのつもりか知らねぇが…。お前達がいて、俺の仲間が苦しんでることは分かる。ヴォルフにもいい、影響になってない。何を企んで、いる。正体を、現すなりして、ドイツから出ていけ」

 剣先が重たく、徐々に下がっていく。体が締め付けられて、呼吸をする度に毒ガスを吸い込むように胸が苦しくなる。今までも不信の輩というのはいたが、どこかに彼らには特定の神を避けながらも神の義を理解していた。そこに信仰があれば、一滴の水も大会の水も変わらない。
 だからこそ理解できない。完全に拒絶…とも違う。そこに全くの信心がないのならば、俺はこの場からさっさとどこかへ移動出来る。それが出来ないということは、ここに俺を縛り、逃がさない程度に奴らは俺を受容しているが、否定している。
 理屈が理解できない。恐怖など、宗教改革の時に既に体験しきったと思っていたのに、体が竦む。

「理解できないって顔だねぇ。んー、直接流し込めば、変化すると思うかい?」

 ルーテルが軍服達に問いかけると、奴らは顔を見合わせて、笑いながら言った。

「そりゃ、あんたが「生えた」時はそれでよかったらしいが、それがこの兄さんにも通じるかねぇ」
「通じるさ。身体の形は人間の男でも、本質の浅ましさは変わらない。あたしがただのルーテルとは違うように、こいつから生じるものもあるだろう。どうやって分化するのか、興味があるな」
「そりゃいい。今夜のビールを賭けよう。俺は1時間持たないと思う」

 やんややんやと、男達が時間を上げ連ね始める。何の賭けだ?
 ついていけない俺を他所に、ルーテルもどきは容易く剣を奪い取ると足祓いをかけ、倒れた俺の右手首を床に縫い付けた。

「がっ…!」
「お楽しみだ。なぁに、あんたも生まれ変われるさ、マチズモは慣れれば気持ちのいいもんだ。特に今のドイツには必要だからね」

 浮かべた笑みは、女のものではなく、どちらかと言えば処刑に興奮する倒錯者のようだった。

「俺を迫害する、か?」

 呼吸が荒くなりながらも、睨みつける。

「そんなんじゃないさ。ただ、進化の手伝いをしてやろうと思ってね。気持ちいいよ? 新しい自分に生まれ変わるのは。目からウロコなんてもんじゃないくらいだ」

 何を、と、言おうとする前に、ずるっとズボンが下着ごと下ろされ、脹ら脛辺りで止められる。上着とシャツは、縫い目に沿って破かれた。過去の聖女達が、辱められたことを思い出す。
 まさか、まさか、まさか。
 いや、目の前の女がルーテルかどうかは別にして、女なのは間違いない。どうやって繕おうと、俺を辱めるなんて出来ないはずだ。

「マチズモの味がほしくて堪んないようにしてやるよ」

 不敵に笑ったルーテルもどきが、ローブの下で下着を脱ぐ。裾をたくし上げ、膝をつき、起き上がれない俺の頭を股間に持っていき押し付けた。
 そこには、女にはない、けれども俺にはよく馴染みのあるものがついていて、獲物を食いちぎるために血に滾っていた。
 マチズモ(男根主義)とはよく言ったものだ、と、今更に言葉の意味を理解する。決して大きくも長くもない(と、思う)モノを喉まで突っ込まれて、噎せるまもなく悪夢、否、サバトが始まった。

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